確証はない。それを信じるしかない。

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カテゴリ:books( 5 )


2005年 04月 04日

ミュージアムの二極化

本日も新年度対応の買い物をしていたら、夜も更けてしまいました。この2日は雑事しかしていない。映画を鑑賞しない週末を久々に過ごしたため、ストレスが溜まっていることを実感する。

最近読んでいる本 岡部あおみ編「アートが知りたい 本音のミュゼオロジー」《武蔵野美術大学出版局》は読み応えある。アーティスト、コレクター、ギャラリスト、ミュージアム、NPOなどそれぞれの分野の第一線で活躍する人、施設や団体の代表者のインタビュー集である。今回、インタビューとして掲載されていないものについては、「Culture Power」というサイトで見ることができる。

気になったのは、ミュージアム運営の世界にも二極化が進みつつあることである。
本書の「museum」の章で、序文として編者は、21世紀を芸術文化の時代だとみなした国や行政、企業は競って「勝ち組」になるべく、親切や増設のために多額の予算を投資していると指摘している。石川県では金沢21世紀美術館の順調な滑り出しを機に県立美術館の改修計画が持ち上がったそうだ。ミュージアムの「ブランド効果で地域力を刷新する」ためである。そういったうらやましい地域もあれば、芦屋市立美術博物館はその対極にあると言える。「指定管理者制度」の導入により、芦屋市はこの施設を2006年3月までに民間委託させる方針であるが、委託先が見つからない場合は、休館・売却することを決定している。人員削減、財政圧縮、機構改革という安易な行政改革のもとに早くも見切りをつけられていると言っていい。新制度の導入と芸術文化の世紀といううねりがますますミュージアム運営を二極化させていくだろう。編者はそんな流れを予見し、動員できる企画への偏重を危惧し、「新たな価値観を構築するために必要な地道な調査や実践を自己規制してしまう」と指摘する。同感である。商業主義と動員目的の映画、アニメのサブカルチャー路線は、短期的に収益は見込めてもそのうち来館者に飽きられてしまう。施設を運営する上で地域と連携した独自性をもつ企画を長期に持続していく場を造ることが、施設が地域になくてはならない根拠を持たせることはもはや周知といっていい。

「勝ち組」施設(まだ決まったわけではないが)だからこそ、こういった運営に取り組んでほしいところである。施設は複数館が連携して運営することが望ましいといわれる。「勝ち組」施設が周辺地域にある施設と連携する運営や地域資源活用に重点を置けば、「座して死を待つ」施設のポテンシャルを再び呼び起こすことができるのではないかと想像してしまうのである。
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by stoneroses8010 | 2005-04-04 23:49 | books
2005年 03月 26日

横浜市改革エンジン フル稼動

本屋で衝動買いした「横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想」を読了。
BAnkart関連のシンポジウムに参加したときに、PHスタジオの池田修氏の説明から横浜市の熱意ある文化政策の取り組みに興味が引かれたため購入した。

中田宏横浜市長は行政改革のブレーンとして元職員で大学教員の二人を参与として委嘱し、市長直結の「緊急改革推進本部(通称 エンジンルーム)」を組織した。従来の行政改革に見られる組織の削減、予算の削減、人員の削減という縮小再生産の視点でなく、財源確保が困難な情勢のなか、いかにして予算の硬直した運用をふせぎ、市政から「しがらみ」を解き放ちながら市民や民の力と取り入れた事業を推進できるかを目指す。
また、「財政悪化し、行政が住民に直接サービスを提供することがだんだん難しくなる。一方でコミュニティなどを書くとした市民活動が活発になる。いわゆる市民参画や行政とNPOの協働の余地がでてくる。それにつれて行政職員の役割も、事業執行者主体から事業コーディネイトに変化していく」という、行政が民の力を最大限に発揮できる事業運営も横浜市は積極的に推進する。

行政改革の部局再編成や庁内分権化(たとえば、区への予算編成権限委譲)、包括的予算配分などの財政改革から、予算のより自由な運営や組織横断的なプロジェクトチームの活動に発展させ、職員の硬直した職務遂行を解き放とうとする努力が見られる。エンジンルームの苦闘は「プロジェクトX」を思わせる。
本書第3章か書かれている「コーディネイト型行政」を目指す横浜市の取り組みの実例について。
Bankart1929の具体的事例は記載されてなかったが、歴史的建造物を市民参画の場として整備し、NPOに管理運営を任せ市民との協働を目指すことが触れられている。
池田氏は中田市政よりも以前に横浜には、芸術文化都市の運営を目指す風土が存在していたと指摘していたが、詳細な記述はない。強いてあげれば、市民活動推進条例の制定、「横浜市における市民活動との協働に関する基本指針(横浜コード)」の存在が触れられている程度だった。
最近の事例として東京芸大大学院が以前Bankart1929の活動拠点だった歴史的建造物(旧富士銀行)に入ることになったことが触れられていた。池田氏によると、横浜市の芸大誘致に対する熱意と着手するスピードには並々ならぬものがあったようで、Bankartへの立ち退き要請は寝耳に水の状態だったようだ。しかし、そのフォローも迅速で旧日本郵船倉庫をすぐに手配してくれたらしい。

なかでも関心を引いたのは財政広報と広告について。地方自治法に定められた「財政状況の公表」のために自治体は財政状況のあらましを市報などに掲載するのだが、横浜市は財政状況をわかりやすく解説する冊子を発行している。それに対して、よりわかりやすい表記を目指すだけでなく、民間企業の広告を積極的に掲載して広告料を稼ぐという姿勢がよい。「市の補助金で運営されるが外郭団体の広告をとっても、税金が中で回るだけで実質上の歳入増にならない」のである。また、公用車のホイールカバー広告や市のHPのバナー広告という広告媒体の拡大する姿勢もよい。(他の政令指定都市では、大阪市や福岡市などに民間企業のバナー広告が確認できた)

事業改革や財政改革に触れられた部分が多いが、的確に事業を運営するということは関わっている人間(行政職員や市民)のインセンティブをどこまで引き出せるかにかかっているだろう。明確なビジョンとやる気を持った職員がいても、既得権益や組織運営、予算執行に阻まれてしまったら、行動に見切りをつけてしまう。市民のニーズが多様化し事務が煩雑膨張する一方、税収が減少する状況の中、市職員がすべてをフォローすることはできない。定期的な人事異動を繰り返し職員のノウハウが蓄積されることが少ない特徴を持つ職員は分野が専門化するほど、事業運営の舵取りに右往左往する。横浜市では「アントレプレナー精神」を生かすため、既成の人事異動の慣習や組織を打破しようとするところが秀逸だ。また、市民に対しては、市政の事業主体になりうることや市政に対して責任があることを明示して意識改革を図り積極的に事業に呼び込み、協働の可能性拡大を図る。
実例を見ても、この点が一番大きな効果を及ぼしていることを感じる。
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by stoneroses8010 | 2005-03-26 12:36 | books
2005年 03月 14日

発熱読書だより

発熱から4日目。幾分か復調した模様。インフルエンザではない。必要最低限の行動のみにとどめ、床に伏すことにしている。以前よりも苦痛を伴わないだけにしばらくするとヒマになる。となると、ついその辺に転がっている本に手を伸ばすこととなる。
「寝ながら学べる構造主義」これしかないな、うん。
内田樹という大学の先生の著書で、物事(この場合は構造主義)を根源的に問い直し、省察するスタンスで構造主義前史から書かれている。
「入門者のための平易に書かれた構造主義の解説書」と前書きにある通り、構造主義の入門書だ。入門書とは一行一節を読むたびに(予備知識のない)読んでいる人間の頭のなかに、フィードバックするフリースペースを与えることが肝心だと思う私にとって、この本は十分「入門書」としての資質をクリアしている。たまに文字としてアウトプットしてしまう時もある。
なんだかえらそうに語ってしまったが、実はこの先生の根源的な問いかけはかなり好みだ。

《なぜ私たちはあることを知らないのでしょう?なぜそれを「知らず」にきたのでしょう。単に面倒くさかっただけなのでしょうか?
それは違います。私たちがあることを知らない理由はたいていの場合一つしかありません。「知りたくない」からです。より厳密に言えば、「自分があることを知りたくないと思っていることを知りたくない」からです。》(P10より)
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by stoneroses8010 | 2005-03-14 21:04 | books
2005年 02月 27日

アウトサイダー・アート

久々に二日酔いになる。
頭が痛いが、昨日の片付けの続きと洗濯をしなければならないので仕方なく体を動かす。
よく晴れた日だ。
一通りの雑務をこなした後、頭がさらに痛み出したので、しばらく仮眠を取る。
夕方になると調子がよくなってきたので、本屋に向かう。
ふと手にした「アウトサイダー・アート」(光文社新書) 服部 正著 に興味を引かれたので衝動買いする。

スターバックスでラテ(short)を飲みながら、購入した新書を読む。
《ドイツ表現主義やシュルレアリストたちが(視覚イメージの社会的操作網をかいくぐった表現である)アウトサイダーアートはを賞賛したのは、自分たちの姿勢や作品を社会に認知させるための手段に過ぎず、アウトサイダーアートの本来の姿を評価したものではない。》という解釈が印象的だった。
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by stoneroses8010 | 2005-02-27 21:55 | books
2005年 01月 13日

ぬおっ!

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今月の美術手帖を今更ながらに見て、ビビりました。
あの「奇想の系譜」(ちくま学芸文庫)が文庫本化されているではないですか。
大学の時に若冲に触れ、その興味をさらに強くしてくれた一冊です。
図書館で偶然手にしてから、どうしても手元にほしくなったので、古本屋で探し回ったことを思い出します。(その時はネットでポンと買える環境になかったので)
そういや、今度テレ東の「美の巨人たち」で岩佐又兵衛を取り上げるな。
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by stoneroses8010 | 2005-01-13 23:39 | books